書綴日記

小説書いたり、徒然

理不尽を受け入れる系小説についてのひとりごと

地雷を考える上でふと思いついたことがあるので、ひとりごとを言う。

 

ヒロインはヒーローのわがままを聴いてあげる。

それは明らかに対等な関係ではなく、ご飯を作ってあげたり、言われたことをやってあげたり、仕方がないなぁといってお世話をしてあげたりする。お世話をするのが好きというわけではなさそうである。理不尽なことに理不尽だと知りながら「でもどうしようもないしな」と惰性で手を伸ばす感じである。そしてヒーローは浮気をしたりなにかしらの騒動を起こして最終的にヒロインと元鞘に収まる。

 

そういう小説をみると搾取されているな、と不快に思っていたのだが、こういうたぐいの小説は実は「無償の献身は報われる」という文脈の小説だったのではないかとふと思った。(上の説明だと「搾取」とまでは言いにくい気もするが、うまく説明できない。もっとマイルド?に言うならば「対等でなく、特に理由がないが主人公が下の立場の小説」という感じだろうか。)

もちろんこういうたぐいの話で細部に作り込まれており、説得力のある描写で不快感を感じずに読める話もある。が、その数は多くない。

 

どうしてこういう小説が多くあるのだろうか。それをぼんやりと考えてもしかしたら、と思ったのが「無償の献身は報われる」という文脈である。

あなたは仕方がないなと言いながらやってあげているあれこれは現実ではほとんど報われることがないけれど、物語の中では当たり前に受け入れているように見えて実は想われていたんだとか、独占欲の表れだったとか、そういう風に解釈されたいという願望の文脈だったのではと思った。

 

別にその願望にケチをつけるつもりはない。ただ私の好みではないだけで。

その他に、多くの女性はMっけがあるらしいので(私は理不尽なことをされたら普通に引くし軽蔑するが)、多くの女性の好みの展開がそういうものなのかもしれない。

そういえば私は少女漫画で結構な量がヒーロー等が理不尽で読めなかったなということを思い出した。

 

また話は少し変わるが私にはヤンデレは受け入れられるヤンデレと受け入れられないヤンデレがあって、相手の尊厳を無視したヤンデレ(同意なき監禁など)は無理だが、キャラが勝手に煮詰まって相手に迷惑をかけない範囲で病んでいく(返信がすぐじゃなくて不安に思って泣き出したり、それを相手の尊厳を侵すことを自覚した上で葛藤するなど)分にはまあいいかという気持ちになる(ただし依存心が強すぎて心配になるが)。

 

私はヤンデレの良さは「キャラの行動指針などすべてが主人公に支配される」ことだと思っていたが、私の好みではないヤンデレが人気なのは「キャラが(主人公の尊厳なども含めて)我を忘れるほど主人公を愛する」という文脈が魅力的だからなのかなあと思った。私が考えるほど他の人は尊厳を侵されることに忌避感がないのかもしれない。私は無理だが。